この本を途中まで読んで、二つのことに気が付く。
1つ目。小説じゃなく、実話であること。
2つ目。著者が主人公と同じ苗字であること。
つまり、著者の祖母の話だった。
働くことをやめない日本女性がここにもいた。
教え子の一人のおばあちゃまに匹敵するこの方。
わが母にも負けない何事にもへこたれない生き方。
これだけ、これでもか、これでもか、と不幸な出来事
が次々とわが身に降りかかってきても、不死鳥のように
立ち上がる。
生い立ちから、負を背負って、ちょっと良くなりかけては、
身内や旦那やもろもろから、せっかく苦労して蓄積した
なけなしの資金を使い果たしてくれる。
上から目線で見る人だと、なんて不幸な人だ、と
簡単に烙印をおして、はいおしまい、と無視されてしまう
のだろう。
でも、私には、そうはうつらない。ここに、また一人、
日本女性の世界に誇れる証拠を新たにつかんだ思いがする。
著者のコメント:
これは水商売一家のホームドラマです 大阪にある場末の玉撞き屋で僕は玉の音を聞いて育ちました。玉撞きは昔は風俗営業に分類され、船場で商いする父親の妾だった母が戦前に 開業しました。これはそんな母の波瀾万丈の半生をモデルにした物語です。
健全な家族、子供の住みやすい環境というような言葉は何故か気恥ずかしい。親子愛、家族愛という言葉もどこか胡散臭い。僕が我が母とその家族の生き様を笑い飛ばしつつ、一気にさらけだしたのは、健全を繕っている世の家族たちへの一種のアンチテーゼなのかもしれません。家族とは何か?親子とは?