『銀行支店長、走る』江上剛著 を読了した。
主人公は、まさかの突如の支店長を拝命。
それは、同期で人事権を一手に握る専務からの
指名だった。
彼は孫子の兵法を必要な時に、引用して
実行する。見てくれはただのおやじだが、
心に一本のゆらがない柱を秘めた男。
文庫本P289~291に、太平洋戦争と
元寇の話が出てくる。要は、元は何も戦い
に敗れて逃げたのではなく、あくまで、
「このまま戦い続ければ、日本の大部隊の
餌食になってしまうだけ。撤退するに限る。
攻める機会があれば、態勢を立て直して再度
攻めればよい」と「三十六計、逃げるに如かず」
という兵法にしたがったまでのこと」
これは孫子の兵法「遠き形には、勢い均しければ
以って戦いを挑み難く、戦えば而ち不利なり」
の教えを実践しただけだという。
それを、日本は神の国で、神風が2度とも吹いた、
と勘違いした。「日本とアメリカとでは生産能力など
戦争遂行力に圧倒的な差があった。そのことは事前に
はっきりと分かっていた。しかし、日本はそれを
精神力で補えると信じ込んだ」
なにかの本で、アメリカの国力を実際に現地で
見知った海軍は、先手攻撃はするが、その後に
相手と早期に収束決着するしかない、と考えて
いたのではないか、というか、それしか日本は
勝てない、と考えていたらしい。先に殴っておいて
仲直りみたいな。