原題 the martian 邦題 火星の人 上下巻を
一気読みした。
映画も観たが、さすがに、原作はさらに
内容が濃かった。こまかいデータが記述され、
火星で一人生き残るための計算を次々にやる。
足りない食料を土つくりから初めて実現する。
水もつくり、遠くの目的基地まで移動するための
消費電力の確保方法、所要時間、リスク、熱源、
あらゆることを独りでやってのけるプロセスが
たまらなくおもしろい。
こういう状況になると、えーっと、それは習って
いないから、とか、それは苦手だから、という
言い訳は通用しない。死に直結するからだ。
彼の専門的知識と訓練は勿論、専門外のことも、
いまある材料でなんとかしてしまう。
自分なら、たぶん、というか明らかに絶望して
あきらめてしまう絶体絶命の状況なのにだ。
こういう極限の運命にさらされるようなことは
現実にはないのだが、数々の困難を、ある時は
即興で乗り越えて、果たして、無事、地球に戻れる
のか、はらはらしどうしの時間だった。