翻訳家Spenserの語る英語や人やものとの出会いがしらの

                                       日常の人やものとの遭遇を綴る。英語・PC・リサイクルショップめぐりが生きがい!

英語とPCを追いかけて半世紀。日英翻訳&通訳をしています。

僕の心に火をつけた忘れえぬ一冊

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

 

 

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日本人が見事に一人もいない、ど田舎のアメリカの州立大学へ留学。

広告専門学生クラブ(広告を意味するAdsにちなんで、Alpha Delta Sigma)

にも一連の「いじめ」にも耐え抜き入会。

学生だけの広告代理店ごっこ(印刷学科が発行する大学新聞の

広告販売代理業)を体験。

その時に出会ったのが、この本だった。

著者は、ジェリー・デラ・フェミナ。明らかにイタリア系。

コピーライターとして、本のタイトルと写真の通り、日本の

電気製品が市場を席捲するビジュアル。アメリカの若者を

憤慨させ、志願させるきっかけとなった、真珠湾攻撃

というキーワードを逆手にとった刺激的な広告のコピー。

そのものを書いた張本人の本だ。

「あなたがたにパールハーバーをもたらしてくれた、

すばらしい人たちからの」(拙訳)

広告業界のありさまを、さすがコピーライターと思わせる、

軽妙な文体でさらりと書き綴ってあった。

この本を読み終えた途端に、He lighted my fire. 心に火がつく。

タイプライターに向かって、だだだだだーっと、

英文で原稿を書いた。

Green Apple Agency Newsの第1号の誕生。

内容は、今月の売り上げ、個別営業成績報告で始まり、

町に一軒しかない映画館の上映タイトルや学内の話題を

カバーした。

印刷は、図書館に頼んで、無料で印刷機と紙を使わせてもらった。

今、思えば、日本人の一留学生の自分が、つたない英語で、

厚顔にも、よくも発刊したものだ。

映画館のおやじは、いたく喜び、フットボールの名選手とかに

しかあげない、終身無料入場パスをプレゼントされた。

教授たちにも会見してインタビュー記事も載せた。

飲み屋(Tapper's Lounge)のおやじから広告契約をとりつけると、

広告文案も書けと任された。

Tap, Tap, Tappers.  Let's meet across the bridge.

橋の向こうで会おうぜ、というこのキャッチコピーは、

その後、ラジオCMでも使ってくれた。

その年のクラブ会合では、最も活躍したメンバーに

贈られる Golden Apple Award のトロフィーと

副賞で100ドルを授与された。

僕のような東洋から来た一塊の日本人留学生の、

へたくそな英語紙発行を続けさせてくれた、学校の

図書館員やクラブのメンバーたちと担当教授の

アメリカン・ホスピタリティ(懐の深さ)を

実感した瞬間だった。

(ちなみに、代理店名も僕の提案が採用され、

ロゴには、かじりかけのリンゴを、学校新聞

の漫画をかいていたM嬢がデザインした。

封筒や便箋にも印刷されたのを、今も

持っているが、アップルコンピュータ

のと酷似している。

商標登録していれば、アップルから

大金をせしめることができたのに、と

悔やまれる。

そして、学科の教授で、初日に

僕が日本人と知って、あからさまに

嫌悪のまなざしで睨み付けたH博士が、

当学生クラブの担当教授で、僕の活躍を

評価して、家族旅行にまで誘ってくれる

たり、とても親密な付き合いをして

くれたのだった。)